基礎過程(1・2年)


コンピュータ音楽創作I~IV
——音楽プログラミングと
ライブコンピュータ・エレクトロニクス

コンピュータ音楽やメディアアート制作のためのグラフィカルなプログラミング環境「Max」を用い、音楽システム制作、アルゴリズム作曲、コンピュータ音合成技術、およびデジタル音声信号処理技術の基礎を習得します。2年前期には、グラニュラーサンプリングを実装し、電子音響音楽(フィクストメディア)作品を創作します。2年後期には、任意の楽器1つとコンピュータのためのライブコンピュータ・エレクトロニクス作品を創作します。


コンピュータ録音演習I~IV
——音響理論と録音、PAの基礎

音響学の基礎から、マイクロフォンやスピーカー等の音響機器の取り扱い、録音の歴史と技法、舞台音響(PA)に至るまで、理論と実践の両面から学びます。2年前期には、機材・舞台・楽器・環境・リスクマネジメントといった面から音へ関わることについて考察し、ネットワークオーディオを用いた現代的なPAを学びます。2年後期には、Pro Toolsを用いたマルチトラック録音と、編集、諸種の調整、ミックスダウン、マスタリングまでのプロセスを学びます。


コンピュータ音楽講義I~IV
——作曲と分析

古典派から20世紀に至るまでの音楽作品について、楽曲分析や楽器法を通してその原理を学びながら、実際に作曲を試み、西洋音楽の様式概念と手法を体得します。2年前期には、アンサンブル作品の作曲を実践するほか、作曲のモデル化とコンピュータ支援作曲ツールによるシステム構築も試みます。2年後期には、現在行われている多種多様な音楽と周辺領域に関する試みへの知見を広げ、さらに各自の興味と関心に基づく研究とその共有により理解を深め、創作につなげます。


マルチメディア・プログラミングI~IV
——クリエイティブコーディング

自らのアイデアを表現として具現化するプロセスの実践を通し、創作に必要とされるソフトウェア開発技術を修得します。主にJavaScriptとNode.jsを活用し、先進的なデジタルテクノロジーに関して実習を通して知見を広げ、プログラミングによる表現への活用につなげることを目標とします。コマンドラインシェル、アルゴリズム、ネットワーキング、フレームワーク、ジェネラティブアート、ソニフィケーション、ビジュアライゼーションといった領域を幅広く扱います。


コンピュータ応用講義A,B,C
——ポピュラー音楽制作

Logic Pro Xの基本操作を学び、サンプラーやシンセサイザー、波形編集などを用いた、ポピュラー音楽の制作フローを身につけます。ビート制作からメロディとコード制作に始まり、アレンジ、エフェクト処理、ミックス、マスタリングに至るまでの過程に習熟します。2年次はUKガラージ/2 StepやTrap、Breakbeatsといった、先進的なダンスミュージックについて、分析と創作を行います。また、J-PopやK-Popを参照しながら、ヴォーカル入りの楽曲を創作します。


コンピュータ応用講義D
——モーショングラフィックス

視覚効果とモーショングラフィックスを作るためのソフトウェアAdobe After Effectsを用いて、簡単なキネティックタイポグラフィを作る演習を行います。授業を通してAfter Effectsの基礎的な技術の習得と、アニメーションの簡単な原理を理解することを目標とします。


コンピュータ応用演習I~IV
——ビジュアルデザイン

「音楽を制作するようにデザインをし、デザインをするように音楽を制作する」。実際にデザインの作業を体験し、個々が共通点を発見し体験することで、自身の音楽制作へと還元できるような視点の養成を目指します。流行や技法に流されずに模索し続けること、完成させるのではなく可能性に触れること、個の作業ではなく、全員で成果を共有しながら先へ進むことを重視します。常に日常の生活や自然の中からデザイン、音楽に共通する概念を探してください。


創作系ピアノI~VIII

ピアノの演奏の基本的な技術及び表現力を習得します。また多様な時代、様式の作品に触れることにより、ピアノ作品やピアノという楽器そのものについて幅広い知識と理解を得ます。さらに、20世紀から今日に至る様々な音楽を知り、演奏することにより、自らの創作活動に直接、役立てることができるようになります。加えて、プリペアド・ピアノの実習も行います。




専門過程(3・4年)


コンピュータ音楽ゼミI~IV

コンピュータをはじめとするテクノロジーを応用した芸術表現を探求します。基礎課程で学んだ知識と技術を振り返り、先行作品や技術をサーベイした上で、学生各々の目標を設定し、芸術的にも技術的にもさらに高いレベルで、独創性に富み洗練されたコンピュータ音楽およびメディアアート作品の創作や研究を試みます。


コンピュータ音楽実習A
——Maxワークショップ

各学生が自身の創作・研究に必要となる、Cycling ’74 Maxのプログラミング技術を向上させるための総合ワークショップです。各種コントロールアルゴリズム、リアルタイム音声信号処理、分析、外部インターフェースとの接続、アプリケーション開発等、必要に応じてあらゆる領域を扱いますが、特にスペースアリゼーション(音の空間化)やネットワーキングに焦点を当てます。


コンピュータ音楽実習C
——モーショングラフィックス応用

視覚効果とモーショングラフィックスを作るためのソフトウェアAdobe After Effectsを用いて、音楽と密接に紐付いた映像作品(オーディオビジュアル)を制作します。作品は展示での上映や配信などに耐えうるクオリティの映像作品の完成を目指します。


コンピュータ音楽実習D
——ポピュラー音楽制作応用

ポピュラー音楽について、映像、リズム、サウンドメイク、コライティングといった側面から検討し、制作を行います。リズムに関しては、Kuduro、Reggaeton、Baile Funk、Juke、Footworkといったスタイルを取り上げます。


コンピュータ音響実習AI, II
——PA実践

Meyer Soundを中心としたスピーカーシステムとYAMAHAのデジタルミキサを用いた、実践的なPA技術について実習を通して学びます。PAにおけるマイクロフォンの的確な選択と使用法やミキシング、スピーカを使用する際のイコライジング、音場補正などについて学びます。また、日本有数の現代音楽アンサンブルであるアンサンブル・ノマドの公演等にてPAを担当し、プロフェッショナルな現場での仕事を体験します。


コンピュータ音響実習BI, II
——音響技術応用

録音について、様々な楽器編成やスタジオおよびホール空間に適応する、マイクロフォンアレンジを検討します。また、オブジェクトオーディオやイマーシブオーディオ、様々な音響効果といった最新の録音・再生技術を学びます。整音作業についても、さらに高精度な技術を習得します。


アプリケーション開発実習I, II

映像、音響、センサー技術等、多種多様なメディアとデータを統合し活用する手法を習得し、自作品への応用を目指します。映像を主とした各種メディアのコンピュータへの入出力技術の仕様と利用の実際を学び、実践します。コンピュータと様々なメディアとの関係性の歴史と現在の状況を学び、DIPSやその他の映像処理環境、プログラミング環境を活用してアプリケーションを開発を行います。


コンピュータ音楽概論A, B
——分析と研究法

現代音楽やコンピュータ音楽、またメディアアート作品、インスタレーション作品、ゲーム音楽等の分析を通して、研究法を学びます。授業は英語で行われ、聞く・読む・話す・書く能力も伸ばします。


コンピュータ音楽概論C
——コンピュータ音楽ワークショップ

コンピュータ音楽に関わる諸概念の理解を目標に、創作ワークショップ形式の授業体験を通して実践的に学びます。技術的な事柄に終始せず、実際の表現を行う中で起こる問題や周辺領域との関連についても、講義とディスカッションの中で考察を行います。題材として、自動作曲、演奏とシンセシス、可聴化とミュージフィケーションを扱います。


卒業論文I~II

3年間学んできた知識や技術を「卒業プロジェクト」として、一つの記録に残る「成果」にまとめあげます。履修者は二つのプロジェクト形式:A)アプリケーション開発、B)研究論文執筆から一つを選択し、各自が具体的な開発目標、研究課題を設定します。最終的に卒業論文として提出します。