国立音楽大学音楽デザイン|コンピュータ音楽研究室の理念は、コンピュータと音響、創作を一体として学び、培った技能と高い美意識、深い問題意識をもって創造的に音を扱うことで、「音楽家」の概念を拡張することです。

音楽デザインとは、1989年に庄野進が提唱した、メディアや環境を含めた総合的な視点から取り組む幅広い音楽実践です。音楽や音の表現を、所与の前提からではなく、制作から受容までのプロセスとの関係から捉え直すのが特徴です。そして1991年に「音楽デザイン学科」が設立され、数度のカリキュラム改編を経て現在に至ります。




学部1・2年次の基礎課程では、Cycling ’74 Maxを用いた音楽プログラミング、メディアアートを視野に入れたクリエイティブ・コーディング、録音およびコンサートPAに関わる音響の理論と実践、そして器楽作品の作曲と分析を、すべての学生が学びます。加えて、DTMによるポピュラー音楽制作やアニメーション制作、視覚デザインも選択できます。

3・4年次の専門課程では、各学生それぞれが自身のプロジェクトを立案し、卒業発表に向けて遂行します。基礎課程で学んだ科目を発展させる授業や、電子音楽およびメディアアート分析の授業を通して、さらに専門性を高めます。修得した様々な技能を主に作品の創作を通して統合し、その過程で音を扱うことに通底する美意識を洗練させます。


あくまで音や音楽を軸としながら、学生個々の興味によって映像やパフォーマンス、インタラクティブメディアなども取り入れ、さらに表現領域を広げることも試みます。加えて、創作物を発表するための環境を構築運営することまで含めた、総合的な技能と視座を獲得します。

学外ホールやオンラインにて開催しているイベント「Sonic Interaction」では、作品の出品のみならず、企画製作、設営、PA、ステージ転換、照明、記録、マネージメント、広報などにいたるまで、すべてを学生たちの手で実現させます。発表の場は同時に、それをサポートするための協働の経験を積む機会でもあるのです。




卒業後は、任天堂やソニーなどのゲーム制作会社、ヤマハやKORGなどの楽器会社、NHKや八峰テレビなどの放送会社、チームラボなど各種のコンテンツ制作会社、PAやMAを手がける音響会社のほか、DeNAやドワンゴなど一般のIT系企業にも幅広く就職しています。起業したりフリーランスとして活躍する卒業生も増えてきました。

また、国立音楽大学はもとより東京芸術大学や東京大学など国内の大学院のほか、オランダのハーグ王立音楽院ソノロジー研究所、フランスのIRCAM、スイスのバーゼル音楽院、ドイツのベルリン芸術大学やワイマール・バウハウス大学、オーストリアのグラーツ芸術大学、アメリカのコロンビア大学やニューヨーク州立大学などへ留学し、さらなる創作や研究を深める学生も数多くいます。